少年亜武(あぶ)

少年亜武(あぶ)3

銚子駅に着いた電車のドアが
開いた。
.
数人しかいない乗客の後ろについて
電車を降りた。
.
あとから聞いた話しだが
初日の出で混雑する元旦以外は
駅員さんはいないそうだ。
.
銚子駅から犬吠駅に向かうときは
Suicaは使えないので
ホームにある自動券売機か
車掌から買う。
.
車掌から切符を買うのは
電車というよりバスのイメージ。
.
バスが2台、連結され、
架線上を走ることを想像すると
バスというより市電みたいだ。
.
昔の市電は写真でしか見たことは
ないけど、
.
亜武が住んでいる
長野県の隣の県にある富山市では
LRTという洗練されたデザインの
市電が走っている。
.
原爆が落とされた広島市でも
LRTが走っているそうだが
.
父・輝(てる)から
聞いた話しによると
.
原爆はウソで
マグネシウム爆弾だったそうだ。
.
しかもアメリカ軍が
落としたのではなく
.
地上起爆といって
日本陸軍が地上に置いた爆弾を
爆破させたそうだ。
.
その日本陸軍に指示したのが
昭和天皇。
.
学校で習う歴史とは
全然違う。
.
学校ではまだ「生活」という科目で
歴史は習っていないけど
.
姉・希花(のどか)が言うには
6年生の「社会」という科目で
歴史を習うそうだ。
.
乗り換え改札口を通過すると
2、3番ホームだった。
.
来た道を戻ればいいので
特急しおさいが停まる
1番ホームに向かった。
.
ホームの真ん中にある
階段を登って、降りると
1番ホームに着いた。
.
携帯に表示される時間を見ると
午後0時3分。
.
「特急しおさいは
何時に来るのだろうか」
.
父・輝から渡されたメモを見ると
「ちょうしえき ごご1じ21ふん」
と書いている。
.
「いまは確か、午後0時3分」
.
1-0=1
.
21-3=18
.
「あと1時間18分もある」
.
どうしようと想いを巡らせる
亜武は
.
銚子駅で一度降りて、
Suicaでまた乗車するように
父・輝から言われていたことを
思い出した。
.
改札口はすぐ傍にあったので
切符を駅員さんに渡して
ホームの外に出た。